小学生の陸上クラブで「何をやらせればいいか」は、指導を始めたばかりのコーチや、家で子どもと練習したい保護者から一番よく聞かれる質問です。本記事では、さいたま市の小中学生クラブで実際に使っている練習メニューを、短距離・中長距離・跳躍・投擲の種目別に紹介します。

小学生の練習で大切な3つの原則

① 多様な動きを経験させる。 小学生のうちは一つの種目に絞り込まず、走る・跳ぶ・投げるをまんべんなく経験させることが、結果的にどの種目の伸びにもつながります。短距離の子がバウンディングをやり、中長距離の子がジャベリックボールを投げていい時期です。

② 「正確に・速く・短く」。 子どもは大人より回復が速い一方、骨や腱は発達途上です。長くダラダラやるより、集中できる短い時間で質の高い動きを繰り返す方が伸びますし、ケガも防げます。疲れてフォームが崩れたら、その練習は終わりにする勇気を持ちましょう。

③ 急に増やさない。 練習量は徐々に。直近1週間の負荷が普段の平均から急に跳ね上がると、故障リスクが上がることが知られています(ACWRという考え方です)。大会前に詰め込むのが一番危険です。

短距離の練習メニュー

ウォールドリル(壁押し) — ねらい:前傾姿勢と地面を押す感覚。壁に手をついて体を斜めにし、その場でもも上げ。10秒×3本。

スティックラン(ミニハードル走) — ねらい:ピッチとリズム。一定間隔に置いたマーカーを規則正しく駆け抜ける。20m×4〜6本。

加速走 — ねらい:トップスピードの体感。10〜30mの助走をつけてから区間を全力疾走。例:110m走って中の100mを計測、など。3〜5本、レスト完全回復。

合図ダッシュ — ねらい:反応とスタート。手拍子や笛でスタートし20〜30m。5本前後。

ポイント:短距離は「全力で走る本数は少なく、休憩はしっかり」。レスト中におしゃべりしていてOKです。疲労した状態でスピード練習を続けても速くなりません。

中長距離の練習メニュー

ペース感覚ジョグ — ねらい:一定ペースで走る感覚。コーチが1周ごとにタイムを読み上げ、「同じタイムで回る」ことをゲームにする。10〜15分。

ビルドアップ走 — ねらい:余裕→ややきついの段階体験。1000〜2000mを、後半に少しずつ上げる。

ショートインターバル — ねらい:スピード持久。200m×4〜6本、レストはジョグつなぎ。目標タイムは本人の800m・1500mのベストから導くのが安全です(大人用の計算式をそのまま使うと小学生には合わないことがあります。小中学生対応のVDOT計算機で「1本ごとの目標タイム」を出せます)。

ポイント:小学生の中長距離で距離を踏ませすぎるのは禁物。週あたりの走行距離は学年と発達段階に応じて慎重に。

跳躍の練習メニュー

立ち幅跳 — ねらい:瞬発力と着地。腕の振り込みと「飛行機の着陸」のような着地を意識。5本×2セット、毎回距離を測ると盛り上がります。

バウンディング — ねらい:地面からの反発。大きく弾みながら20〜30m。3〜5本。接地が潰れてきたら終了。

踏切ドリル — ねらい:踏切のリズム(タ・タンッ)。短助走から踏切→着地姿勢まで。6〜10本。

ミニハードル連続踏切 — ねらい:連続リズムジャンプ。低いハードルを連続で。

ポイント:跳躍系はとくに「本数を欲張らない」。反発系(バウンディング等)は骨・腱への刺激が大きいので、週に詰め込まず間隔をあけて。

投擲の練習メニュー

ターゲット投げ — ねらい:正確なリリース。コーンや的をねらってボール投げ。遊び感覚で。

ステップ投げ(3歩→5歩) — ねらい:助走と投げの連動。「右・左・投げ」の3歩から。各5本。

メディシンボール投げ(前方・後方) — ねらい:全身で投げるパワー。1〜2kgを両手で。各5本×2セット。

ジャベリックボール投 — ねらい:種目そのもの。助走は15m以内(大会ルールと同じ)。オーバーハンドで、羽根ではなくボール本体を持って投げます。

ポイント:投擲は「待っている子の立ち位置」を最初に決めるのが安全管理の基本。全員が投げ終わってから取りに行く、を徹底します。

週2〜3回練習の組み立て例

週2回のクラブなら、たとえば——

毎回「走・跳・投のうち2つ以上」が入るようにすると、飽きずに多様な刺激が入ります。大会前の週は新しいことをせず、量を落として動きの確認に充てます。

まとめ

小学生の練習メニューは「種類は多彩に、1回は短く、増やすのはゆっくり」。今日紹介したメニューはどれも特別な道具がほとんど要らないものばかりです。まずは1つ2つ、次の練習に取り入れてみてください。